チューハイ「-196℃」
ビール系飲料の国内マーケットが縮小に向かっている。今の若い人たちって、ビールをあまり飲まないらしいですね。僕なんか若い頃は、お酒といえばビールばかり飲んでいた。というかビール以外に飲みたくなかった。当時に比べると、代わってチューハイ系の飲み物がずいぶん賑やかになっている。まだ痩せていてダンス俳優(そんな言葉あるのか?)だったジョン・トラボルタが、踊りながら「トーキョー・ドリンク!」と叫ぶカンチューハイのCMをやっていたときは、ずいぶん無理があるなぁと感じていたものだった。ええと、たぶん20年くらい前のことです。そうか、今の若い子たちが生まれた頃なのか。その頃から見れば、すっかり定番商品になってしまった。
チューハイのなかに、サントリーの「-196℃」という商品がある。果汁を凍らせる温度をそのままネーミングにしたものだ。たぶんキリンの「氷結」に対抗するための商品だろうと察する。こういった数字のネーミングは、消費者に媚びるフリがなく、饒舌な感じがせず、その割には自然に押し出すような存在感がある。もちろんただの数字だけでなく、温度という意味性がすぐわかるからだけれど。
ただ温度といっても、これが「-200℃」とか「-150℃」というようにキリのいい数字だったら、もうひとつ信用性に欠けたと思う。あまりにも大雑把だから。-196℃という中途半端な数字だからこそ、リアルな印象をもてるんでしょうね。本当に果汁を凍らせるベストの温度なんだろう、と。もともとあまりにも現実離れした温度なんで、本当かどうかなんてわかるわけはないんですどね。
一方、数字のネーミングでは、意味のわからないものもある。そのぶん、僕のようにネーミングの仕事ほしている人間には「何だろう?」と気になってしまう。たとえばUCCのインスタントコーヒーの定番「114」と「117」。僕は当初、どうしても意味がわからなくて、「いいよ」と「いいな」を数字に置き換えたのかなぁと思ったりしていた(発想が幼稚ですいません)。実は社内の開発番号をそのままネーミングにしたと後から知った。こういうのも悪くないですね。
数字を使ったネーミングは、実は僕もいくつか手がけている。自慢になってしまうが、今やメガブランドになってしまったものもある。ネーミングをした時点では僕さえ思いもよらなかったくらいの発展ぶりを遂げてしまった。今でも買物に出かけるたびに、そのブランドを目にすると、ネーミングの仕事っていいなぁと感じる。広告と違いちゃんと残っていくから。そのうち子供にも教えてあげられるなぁとか思います。
サントリー「-196℃」 http://products.suntory.co.jp/rtd/0000000059/index.html