ネーミング次郎のネーミングコラム

旅サービス「大人の休日倶楽部」

「大人」というコトバについて書いてみる。

最近、成人年齢や選挙権を20歳から18歳に下げる議論が起こっている。「大人」と「成人」とは、1ミリも違わない同義語とはいえないけれど、まぁ、同じようなものだ。実際、ある調査によると、大人をイメージする年齢は現行の成人年齢である「20歳以上」がいちばん多かったという。成人というのが法的な規定であるのに対して、大人というのはパーソナルな精神面のニュアンスが大きい。“18歳で私は年老いた”と言った、フランス人の小説家もいたのだし。要は心の問題だというわけ。

とはいっても、すでに中年や熟年になってしまった人に、あえて「大人の」なんて、もったいぶったネーミングはしないのが普通だと思う。ところがJR東日本は、50歳以上の運賃割引サービスに「大人の休日倶楽部」なんていうネーミングをしている。男性65歳以上、女性60歳以上になるとさらに割引率が高くなるもので、どう見ても、高齢者向けのサービスなのだ。

こんなふうに2度目、3度目の成人式を済ませているような人に向かって、「大人の」というのはどうなんでしょう。僕はちょっと違和感をもちます。ちなみにCMに出ているのは、吉永小百合さん。JR東日本なので、関東地方以外の人は見たことがないと思うけれど。

同じようなネーミングではヤマハの「大人の音楽レッスン」というものがある。コア・ターゲットは、やはり50代以上の人たちだと思う。とはいうものの、こちらは、20代や30代でも入会できる。大人という広い言葉でくくってしまってもおかしくはない。またヤマハは子供教室のイメージが強いので、それに対抗する意味でも、大人の音楽レッスンというネーミングは、わかりやすい。

一方、JR東日本のサービスは同じ大人でも50歳未満の人は受けられないという明確な規定がある。いくら一家の大黒柱だろうと、孫ができたと喜んでいようと、50歳にならない人間をJR東日本は大人と認めてくれないらしい。もちろんさっき言ったように、「大人」というのは実年齢だけじゃなくパーソナルな精神面の意味合いが大きいことはわかっている。じゃあ、50歳過ぎの精神性のどんな部分が大人なの? それは30歳や40歳では不可能なことなの? としつこく問い詰めたいのは僕だけでしょうか。

思うにJR東日本の場合、ネーミングを決めるとき、たんに「大人」という以上にいいイメージの言葉が見つからないと判断しただけだと思う。たとえばハッキリと「シニアの休日倶楽部」や「ミドルからの休日倶楽部」と言ったようなネーミングにしたら、当人たちがあまりいい気分になれないのでは? と考えたとか・・・。その踏み込めなささが、もと国営企業のDNAなんですかね。

以上、以前取り上げた「青春18きっぷ」に続いての、JRの気になるネーミングでした。

えきねっと「大人の休日倶楽部」 http://www.jreast.co.jp/otona/
ネーミング屋.comコラム「青春18きっぷ」コラム http://www.naming-ya.com/column/2007/12/18.html

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