ドラッグストア「マツモトキヨシ」
今さらとは思うけれど、「マツモトキヨシ」というネーミングについて。
こんなふうに人の名をフルネームで社名(店名も)にしてしまった例が他にあるだろうか。苗字だけなら、ホンダとかトヨタとか松下とかいっぱいあるけれど、フルネームとなるとまずない(デザイナー個人の個性を前面に出す、洋服のブランド会社は別にして)。個人の色彩が強すぎて企業としての発展性が感じられないし、何より普通の感覚からすればヘンだ。女性社員だってイヤがるだろう。
マツモトキヨシがあえてフルネームにしたのは、ちゃんと理由がある。創業者であり後に松戸市長となった松本清氏が、県議時代に選挙対策として自分の名前を覚えてもらおうとしたためらしい。たしかに選挙のときだけ自分の名前を叫ぶより効果的だもんね。お店の看板がそのまま選挙看板になるようなものだから。後世に店舗が日本中に広まり、まさか選挙権のない女子中高生にまで「マツキヨ」の愛称で浸透するなどとは思っていなかっただろうけれど。
よく知られていることだけど、松本清氏は松戸市長時代に市役所に「すぐやる課」を作った人物。お役所はヘタをすれば、人命よりも段取りのほうを大切にするような組織で、最終的な決済をするまで、いくつもいくつも手続きを踏まなければいけないようになっている。そこで市長直属の「すぐやる課」をつくり、できることは迅速に対応するようにした。また選挙の投票率をあげようと、投票整理券を使ったくじをやろうとしたこともある。ひと言でいえば「くじ付き選挙」。こんなこと、お笑い出身の東国春知事にだってできないだろう。
マツモトキヨシが全国区の知名度を獲得しはじめたのは、12~13年前くらい? 突然、CMが頻繁に流れ出したのを覚えている(あくまで東京の場合ですが)。最初はその名前に違和感があったけれど、すぐに馴染んでしまった。ドラッグストアは今、かなり乱立しているけれど、他のチェーン店はほとんど印象に残らない名前ばかりだ。日常会話の中でも、「マツキヨ」なんて固有名詞で呼ばれているドラッグストアは他にはない。今の総理大臣のフルネームを言えない学生はいっぱいいるだろうけれど、マツモトキヨシの名を言えない学生はいないでしょうね。
マツモトキヨシ http://www.matsukiyo.co.jp/