企業「グッドウィルグループ」
2007年は企業の不祥事が多発した年だったと言う。しかし僕にいわせれば不祥事が多発したのではなく、不祥事が表面化した年だったというほうが正しいと思う。10年前でも20年前でも悪質なことをやっていた企業はたくさんあったし、僕が広告会社でさまざまな企業を見聞きしてきた経験によると、昔のほうが圧倒的に悪質なことをやっていた。コンプライアンスという言葉が出てきて久しいが、もう悪質なことが隠せない時代になってきただけなのだ。今後は企業はもちろん、日本の閉鎖性の象徴ともいえる政治や相撲、古典芸能などすべてがディスクローズされていくだろう。
で、話を企業に戻すと、つい最近、グッドウィルグループが、介護問題に続きこんどは人材派遣についても違法行為を行っていたというニュースが流れた。事業の2本柱であった派遣と介護の両方で、違法行為を繰り返してきたというわけだ(介護事業は結局、売却撤退したが)。
僕は事業そのものはともかく、この「グッドウィル」という企業名について、あまりいいイメージはもっていなかった。自分たちのことをグッドウィルなんて言ってしまうセンスがどうかと思っていた。
企業名だけでなく商品名でもそうだが、自分で自分を過剰に誉めるようなネーミングは良くない典型だ。あまりにも想像力がなさすぎる。コミュニケーションに大切なのは、創造力よりも想像力。“こんなことを言ったら、人はどう思うか?”ということをまず考えなければいけない。ときどき僕も誤ってしまうので、あんまり偉そうには言えませんが。
たとえば「僕はとてもいい大学を出て、背も高くて、年収も高いです」なんていう自己紹介を見知らぬ人の前でやったら、相手は素直に拍手してくれるだろうか。何てイヤな奴だと思うはずだ。「僕は良き心の持ち主です」と言ったとしても同じ。しかもグッドウィルの場合、違法と知りつつ行っていた悪質さで、「どこが“グッドウィル”なんだ!」と格好のツッコミを与えてしまった。選挙公約のときは「打倒! 汚職」と言っておきながら、実は裏金をせびっていた政治家といっしょだ。しかも選挙公約と違い、企業ネーミングはずっと使われていくのだ。
以上、こんな事件が明るみになったとたん批判するのは、強い者が負けたとたん不意にでてきて喋りだす人間のように卑怯だとは感じつつ・・・の文章でした。