企業「ラディア」など
先日、あの「グッドウィルグループ」が社名を「ラディア」に変えるというニュースがあった。不祥事が続き、創業事業である日雇い派遣から撤退することもあり、企業名を一新するという。
「ラディア」とは、“光を放つ”“光点”などの意味をもつ英語「ラディアント」から付けたという。光を放つより、光を消して早く企業ごとどこかに消えてくれ!と言いたくなるようなコトばかりやっていた会社だ。もちろん社員の中には、ちゃんと真摯に仕事に取り組んでいた人もいたとは思う。親が泥棒とは知らず、頑張って協力した幼い息子のように不憫には思うけれど、企業そのものには同情する余地もない。ネーミングを変えたのを機に、本当にいい企業になるのかなぁ。名前隠して尻隠さず、なんてことにならなければいいのだけれど。
さーて、ちょっくら問題といきましょうか。次に言う企業は元々どんな社名だったでしょう。わかる人は少ないのでは?
1.かざかファイナンス
2.ニューディール
1の元の社名は「ライブドア・クレジット」。あのライブドアの子会社でした。今はライブドアとは関係なくなって、イヤな思い出は名前から消してしまおうということですね。同じく子会社だった「ライブドア・マーケティング」は、「メディア・イノベーション」。本体の「ライブドア」はホールディングス(持ち株会社)になり、そのイニシャルをとって今の社名は「LDH」。なんかフランスの世界的ブランド企業(ルイ・ヴィトンやモエ・エ・シャンドンとかを扱っている)「LVMH」のニセモノみたいですね。別に悪意があって言ってるわけじゃないけれどね。
2は、1999年、東証マザース市場の上場第一号となった、記念すべき会社。当時は「リキッドオーディオ・ジャパン」という社名で、上場パーティには芸能人を多数呼ぶなど、大きな注目を浴びた。事業内容は音楽配信。その後、メチャクチャで真っ黒な事件を起こしたことは覚えている人も多いはず。今は「ニューディール」という社名でひっそりとやっている。ちなみに現在の事業は、ホットヨガだって。もうワケがわかりません。株価も10円以下がずっと続いていてワケがわかりません。でもなんとか上場は続いています。
新興企業は歴史がないぶん、わりとイージーに社名を変えられる。若い子が洋服を替えるように。その点、老舗企業、特に生活者にモノを売る企業はそうはいかない。雪印にしても、赤福にしても、その名前こそがブランドであり歴史であり生命だからだ。あとは企業の姿勢と実績で、世間の評価をもう一度取り戻していくしかない。
今後も企業の不祥事、特に新興企業の不祥事はまだまだ出てくるだろう。そのたびにネーミングを変える企業も多いだろう。せっかく新しい社名にしたならば、本質的に変わってほしいものだと思う。でもここ数年、名前を変えてから、劇的にいい企業、評価を取り戻した企業になった例はほとんど思い当たらないのが現実だ。当たり前だけど、企業の場合は、名前よりももっと変えるべきことがあるんですね。
グッドウィル・グループ http://www.goodwill.com/
レトルトカレー「LEE」
カップ麺、袋麺などの麺類と並んで、インスタント食品の主力であるレトルトカレー。元祖である大塚の「ボンカレー」以来、さまざまな商品が出ては消えていった。その間、僕は幼少期から思春期、学生一人暮らし、社会人、結婚、子持ちと家族的変遷を遂げてきたけれど、今でも身近な食品であり続けている。これまで相当な種類が発売されてきたはずだか、僕の中でもネーミング的に目を引いたのは「LEE」だ。辛口専門のカレーで、辛さの度合いを「×5」とか「×10」とか記しているヤツ。登場したのは、20年以上も前で、郷ひろみが最初の奥さんのことを「リー」と呼んでいた頃と記憶している。たしか同名の歌まで歌っていたなぁ。
時は流れて、郷ひろみは2度目の奥様とも離婚して久しく経つけれど、スーパーの売場には、LEEは相変わらず置かれてある。郷ひろみも、スーパーマーケットじゃなくスーパースターであり続けている。開高健ふうにいうと、これだけ“橋の下を多くの水が流れていった”のに、相変わらずの存在感を見せているのは、どちらも立派なことだなぁと思う。・・・そういえば「Lee」というジーンズはまだあるのでしょうか。「リー」という黒人の野球選手(たしかロッテ在籍、兄弟で日本で活躍した)は、今は元気でいるのでしょうか。ブルース・リーは息子も不慮の死を遂げてしまいましたね。・・・などなど、いろんなコトが浮かび、感慨に耽ってしまいます。ちなみにリーと呼ばれていた奥さんは、今はまわりから「社長」と呼ばれているはず。あの「家庭教師のトライ」の代表取締役になっているから。
で、インスタントカレーの「LEE」に話を戻すと、ネーミングの意味は何かとホームページを見ても、特にないとある。語源としては、[1.当時商品名を考えていた担当者が「ビーフカリー、ビーフカリー、ビーフカリー…リー!」と叫んだこと。2.試食の際に、あまりの辛さに「かりぃ(辛い)」と叫んだこと]と記している。ま、そんなもんでしょうね。ただ味のことをいろいろと説明している、言い訳めいたネーミングが多い中で、この歯切れの良さと意味不明さは目立つ。今でもよく目立つ。
江崎グリコ ビーフカレーLEE http://www.ezaki-glico.net/lee/index2.html
化粧水「雪肌精」
ゴマンとある化粧品のネーミングで今までに僕の印象に残った、数少ないもののひとつ。読み方は“せっきせい”。すでに発売されて長年が経つけれど、今でもいいネーミングだと思う。雪という文字に、とてもシズルを感じる。日本女性の肌の美しさへの憧れを上手に象徴している。静かな響きだけど、きっちりと存在感を示しているような名前。こういうのは、漢字ネーミングの良さでもある。横文字ばかりの化粧品の中では、異質な目立ち方をしている。
「雪のような肌」というとき、日本人はとても無垢なイメージをもつ。秋田美人とか新潟美人というのも、雪国特有の白い肌と清楚な面立ちを連想させる。紫外線とは無関係なイメージだ。日本古来の静かで落ち着いた女性。まぁ、現実的にはそうでもないと思うけど。田中真紀子だって新潟女性なんだから。
ところで「雪肌精」に「雪」以外の漢字を使ったらどうだろう。で、ちょっと余興的に考えてみると・・・
「柔肌精」=与謝野晶子の詩を思い出しますが、イマイチ。
「透肌精」=ちょっとワザとらしい。
「美肌精」=あたりまえすぎ。
やっぱり形容詞は、触れ方が生ぬるいですね。で、次は名詞を使って・・・
「餅肌精」=たしかにきれいな肌のことを「もち肌」とはいうけれど、こういう字面にすると“お煎餅か”とツッコミたくなります。
「絹肌精」=悪くはないけど、まぁ普通かな。そういえば誰かが白人と日本人の肌質の違いを、豆腐の木綿ごしと絹ごしに例えていたなぁ。
「星肌精」=輝くという意味を込めて。でも意味がわからないでしょうね。
・・・てな漢字、じゃなくて感じでしょうか。
欧米ではキレイな肌をたとえるのに、どんな言い方をするんだろう。「マシュマロのような肌」とか言うんだっけ? 同じアジア人でも中国や韓国の場合は、日本人とはまた違う例え方があると思うけど・・・。誰か知っている人がいたら教えてください。
雪肌精は、ネーミングに加えて、青を基調としたボトルデザインも秀逸だった。初めてみたときその商品の場所だけがひんやりとしているようで、思わず吸い込まれそうになったような記憶がある。そこだけ空気が違うというか、凛とした印象だった。ネーミングとデザインの良さが、素晴らしく掛け合わされた商品だったと思います。
コーセー 雪肌精ウェブサイト http://www.sekkisei.com/jp/