2011年12月02日 01:19
ソーシャルゲーム「グリー」
今や飛ぶ鳥をまとめて落とし、CMでテレビ局のフトコロをうるおし、デイトレーダーをくぎ付けにするグリー。東北大震災もユーロ債務危機もこの国のアホな経済政策も、みーんな無関係にして株価の勢いは止まりません。
同じゲーム関連でも最近の任天堂の株価とは正反対ですね。市場はなんて正直なんでしょう。もう専用ゲーム機でゲームをする時代じゃないという判断。数年前、あれだけ勢いがあり、このコラムでも取り上げたことのある任天堂がこんなふうになるなんて、島田紳助の引退と同じくらい予想もできませんでした。
グリーは、いつか読んだ日経の記事によると、売上高利益率が何と91%という信じられない数字です。原価になるのは家賃とサーバー代だけ。そりゃあんなにCMも打てるはずですわ。昨日食べた700円のラーメンの原価が、6円ちょっとだったらどうですか。現実には刻みネギにもなりませんぜ。真っ当な商品を作るメーカーの人間から見れば、打出の小槌を手に入れた会社のように見えるでしょう。まぁ、ITやデジタルサービスはこういう成功があるから面白いともいえるんですけどね。
でもこれだけ儲かっていると、英語圏の国だとしたら、そのネーミングにひっかけて“GREED”(強欲という意味)と揶揄されて呼ばれるんじゃないでしょうか。無料で会員を集めながら参加者の弱みにつけこんでアイテム課金をしていくというやり方、そして対象の大半が子供や青少年であることなどから、よけいにそう思ってしまいます。ウォール街のバンカーやヘッジファンド連中がそう非難されていたように。
映画「ウォール街」でマイケル・ダグラスは“Greed is good! Greed is right! ”と叫び、結局はインサイダー取引で逮捕されてしまいました。その続編で今年、日本公開となった「ウォール・ストリート」では、長い投獄から出たダグラスが、不動産バブルに沸くアメリカ(つまりリーマンショック前のアメリカ)で目一杯のレバレッジをかけ数々のデリバティブを駆使して公然と大金を儲ける連中を見て、“I once said Greed is good. Now it seems it’s legal” (かつて私は「強欲は正しい」と言ったが、今や「強欲は合法」になった)と皮肉りました。俺は逮捕されたのに今の奴らは何だ、というワケです。
さて、同業でありモバゲーを運営するDeNAがプロ野球チームを買収したし、この業界の勢いは止まる気配はない・・・と思うのが一般的でしょうが、実は個人的には先行きどうかと思う部分もあるんですね。それはまさに“legal”の問題。つまり未成年の子供たちや若者が知らず知らずにどんどんお金を使ってしまうことが社会問題になり、法的規制が入ってしまわないかということです。何年か前のサラ金の過剰債務問題、昔のダイヤルQ2問題のように。もし規制が入ったら、一気にしぼんでしまう可能性だってあるわけです。まぁ、貧乏人のやっかみで終わればいいんですけど。
最後になってしまいましたが「GREE」のネーミングは、6次の隔たりを意味する「Six Degrees of Separation」という統計学・社会学の仮説から名付けられたとのこと。「人は自分の知り合いを6人以上たどっていくと、世界中の人とつながりを持っている」という説です。その“Degrees”から“gree”の部分だけを抜き出したらしいです。
一般的にネーミング作業は、意味を凝縮させていくことが多いけど、これはほんのちょっとだけツマんだ感じで全体の意味はまったくわからないし、正直、あまり説得力も感じませんね。口当たりのいいところだけテキトーに見つけた・・・失礼ながらそんな感じがしてしまいます。
●GREE 始まりと由来
2011年11月07日 15:09
靴修理店「ミスターミニット」
この店、便利ですねぇ、助かりますねぇ。靴のかかとがすり減ったときなど、僕もたまに利用させてもらってます。見てるとヒールを直す女性客が大半を占めているんですけどね。景気低迷で、買い替えよりも1つのモノを長く大切に使う時代だからでしょうか。最近、なんだか店舗が増えてきた気もします。
戦後、東京近郊の個人職人がひっそりと始め、1人2人とコツコツ顧客を増やしてここまで発展してきたんだろうなぁ・・・などと勝手にイメージしていたら、発祥はベルギーのブリュッセルというじゃないですか。これは知らなかった。全然知りませんでした。
同じ職人でも元はヨーロッパ職人の店だったんですね。それにしてはロゴマークのイラストの顔がやけに日本人っぽいぞ。タッチはアメコミっぽいけど、この顔はどう見ても日本人だろ。一応、フレッド君という名前だそうですが、よしお君という名前で「サザエさん」に出てきてもおかしくないような顔に見えてしまう。それとも日本向けにイラストを多少変えたんでしょうか。
こういった職人産業はグローバル化しにくい気がするし、かなり例外だと思います。床屋とかクリーニング店で世界中に店舗を展開しているような例は聞いたこともないし。創業者だって、まさか極東の島国でこんなに店が増えるなんて思ってもなかったでしょう。ただ世界展開ブランドですが、経営的には数年前から日本はアジア・パシフィック部門会社としてヨーロッパ本部からは独立しているようです。
ベルギーはたしか公用語はフランス語とオランダ語ですね。でもMISTER(ミスター)というのは、英語ですよね。フランス語はMONSIEUR(ムッシュ)でしょ。オランダ語では何ですか。いずれにしてもなぜ英語のネーミングしたんだろうか・・・と思っていたら創業したのはアメリカ人だそうです。・・・なるほどねぇ、と頷いていたら、創業時のネーミングは「タロン・ミニット」で、タロンはフランス語で「かかと」「ヒール」の意味だそうです。で、その後、全世界の統一商標として1965年に「ミスターミニット」にしたとか。日本に上陸したのは1972年です。
あと意外に気づかないことですが、「ミニット」の表記はMINUTEじゃなくてMINITです。時間の「分」の単位であり「早い」を意味する正確な英語は前者ですが、読みやすくわかりやすくするために変えたとのこと。世界展開を意識したときにそうしたんでしょうね。つまりミスターミニットとは、“素早いおじさん”です。今、そう書いたとたん、いつか下ネタに使われそうな気もしてきました。さらにその上を指すコトバとして「ミスターセコンド」とか。
ミスターミニットは合鍵も作ってくれます。せっかくこれだけブランドが根づいているんだから、洋服修繕のスピードサービスに乗り出すとかはないんですかね。ネーミングはやっぱ「ミセスミニット」で。(もちろんウケ狙いの発想なので本気にしないように)。ただ革製品全般のクリーニングとして「リ・ボーテ」というサービスを始めました。日本が独自で立ち上げたサービスですが、こちらのネーミングはなぜかフランス語。「ボーテ」というのは英語の「ビューティ」です。「レザーミニット」とか「ビューティミニット」にはしなかったんですね。たしかに、早さを売り物にできる作業工程じゃないもんなぁ。
●ミスターミニット ホーム
2011年10月25日 12:42
通り「バスケットボールストリート」
この9月に突然、渋谷センター街が「バスケットボールストリート」なんていう名前に変更されることを聞いたとき、一般の人はどう思ったでしょうか。 「はぁ?」ってな感じじゃないでしょうか。
変更の目的は、危険でコワイ場所というイメージを払拭するためだそう。うん、その気持ちはわかる、わかるけどね、あまりにも突然変異すぎやしませんか。親とか教育者から見れば良かれと思っても、当の若者たちは「フン!」と鼻で笑うでしょう。少なくとも僕が尊大なるハタチの頃なら、そうしたはず。不意打ちのような発表でしたが、あまりにも現実との距離が遠すぎて、ヘタなパンチみたいにむなしく空を切ってしまった感じです。
だいたいなんでバスケットボールなの?渋谷ともセンター街とは何の関係もないじゃん。不良行為に対してスポーツをもってくること自体が、昭和の青春ドラマ的で古すぎませんか。最終的にネーミングを決定した人と、不良少年たちにスポーツを強制する時代遅れの熱血教師がかぶります。1970年代なら話はわかるけど、今じゃ「なんかアタマ悪そう」と渋谷ギャルに言われてオシマイのような気がします。今さら夕陽に向かっては走れませんよ。
それに僕なんかはバスケットボールなんて聞くと、むしろ黒人スラム街のほうがイメージとしては重なりますね。貧困地域のストリートじゃヒップホップかバスケット。健全どころかきわめてデンジャラスなイメージ。そしてタトゥーを入れた黒人の若者たちの娯楽。“黒人5人に女性が襲われそうなシーンに出会ったら、どうしたらいいか?”・・・・答えは“バスケットボールを投げる”なんていうジョークも聞いたことあります。NBAのスター選手にもスラム育ちは多いですね。
ネーミングを発表したのは地元の商店街振興組合ですが、そういったあたりのことは考えなかったんでしょうか。安易に「健全」→「スポーツ」→「通り(ストリート)にいちばん近いもの」→「バスケットボール」→「ハイ、拍手。決定!」という具合に、硬直したアタマで考えた結果のような気もします。学生時代の昼間のかなりの時間をここで過ごした元渋谷少年はそう感じました。
しかも日本じゃ、失礼ながらバスケットボールって、マイナースポーツでしょ。BJリーグ(日本のプロバスケットリーグ)を見てる人なんて僕の周りには誰もいません。ってか、そもそもその存在を知っている人がどれだけいるのか。総理大臣のフルネームとBJリーグ選手の名前の両方を言えるコギャル(死語!)がいたら、尊敬しますよ。
そんなこんなで、看板の強引さというか、空気読めない感というか、宙に浮いている感というかが、実際に渋谷に来てこの通りの入口の看板を見ての感想でした。ちょっと前、近くの宮下公園が改修と同時にナイキがスポンサードをする話があり、それと何か関係あるのかもとも思ったけど、入口にはスポルディングのボールがディスプレイされているから無関係そうですね。
あともし万が一、万が一ですよ、仮この名前が定着したとしたら、なんでも短くして言う今の時代は何と呼ばれるのか。バススト?バス通り?バスリート? そんなことも気になりました。ちなみに僕はスマートフォンのことを「スマホ」なんて呼ぶことにちょっと恥ずかしさを感じてしまいます。なーんか「ラブホ」みたいじゃん、て。・・・・・失礼しました。
●渋谷センター街が「バスケットボールストリート」に改名
2011年09月20日 17:09
タコ焼き店「築地銀だこ」
「築地」を名乗っているけど、発祥は群馬。タコが獲れるどころか、海もありません。タコ焼き屋さんだけど、ナニワとは全く無関係。それなのになんでこんなに店舗が増えてるんでしょうか。スーパーとかのテナントによく入っていますね。香港やシンガポールにも進出しているようです。
「銀だこ」というのは、タラに銀ダラがあるようにタコにも銀ダコという種類がありそれを使ってるから・・・ではなく、銀座からネーミングされています。たしかに銀座の名にふさわしい値段のような気がします(銀座が付いたネーミングについてはこちら)。ナニワタコ焼き道のおばちゃんから見れば、ありえへんやろ、という感じです。しかもこのデフレ時代にや。でもこれだけ店舗が増えてるということは、それ以上に美味しいんですかね。食べたこともないのにエラそうに言ってすいません。
築地魚河岸のように新鮮で良質なタコを使い、銀座の街で人気となりました、という仮想ストーリーをネーミング化したんですね。銀座の恋の物語ならぬタコ焼きの物語か。でもこれ、今だったら、はたして商標がとれるかどうか。たぶん難しいと思いますよ。理由は、数年前から地域団体商標制度ができたからです。
これは簡単にいうと地域名が付いた商標(たとえば「夕張メロン」など)を取得するには、過去にその地域に根づいた実績と知名度がちゃんとないと認めもてもらえないというもの。群馬で「築地銀だこ」という名前で始めても、商標登録は認めてくれないんです。もちろん現在の「築地銀だこ」はちゃんと商標は取得しています。創業も申請もずっと前で、当時は何も問題なかったからです。
だからといってもね、群馬で創業したのに「築地銀だこ」というのは、あんまりじゃないの?というのが、一般的な感想じゃないでしょうか。Wikipediaを読むと、“銀座に店を出すという夢を込めて”銀だこと名乗ったとありますが、夢だけで勝手にそんな名前を付けていいのか。じゃあ夢があれば「ハリウッドお好み焼き」でもいいのか。そんな感じではないでしょうか。ただここの社長は、何年後かにちゃんと銀座本店なるものを作ってしまったからエライ。事実化してしまったんです。一方、もうひとつの築地の名は“築地で仕入れる”なんて夢は特になくって、“魚河岸の活気”“新鮮な素材を使っている”といった程度の理由だったみたいです。
さて、この築地銀だこの会社(ホットランドという)、先日、本社を創業以来の群馬から宮城県石巻市へ移すと発表してました。東北大震災で被害を受けた地の復興のためだそうです。こういう決断をする会社の社長だからこそ、出身地とも創業場所ともまったく関係ない大阪庶民の食べ物のタコ焼きを、こんなにも大々的にチェーン化できたのかも。やっぱり志と覚悟がそんじょそこらの起業家とは違うんでしょう。これだけどこに行ってもあると、タコのことをDevil Fishと呼び毛嫌いするイギリス人などから見たら、おぞましい光景かもしれません。
●築地銀だこホーム
2011年09月01日 11:08
急速充電器「チャデモ」
多くの中年男性には、バカき日々のナンパ(ごっこ)を思い出してしまうネーミングではないでしょうか。「声をかけるは一瞬の恥、かけないは一生の恥」という誰かの忠告に従い、街でこの言葉を連発した日々。ああ、恥ずかしい・・・恥ずかしすぎる・・・。でもね、その頃の知り合いには、今、国会議員になっている奴だっているんだよ。
まさかこの言葉が、未来の象徴である電気自動車(EV)の充電器のネーミングとして現われるとはビックリです。表記は「CHA de MO」。正確に言うと、日本が規格する急速充電器の商標名。国内自動車メーカー4社と東京電力により主導されたもの。最近、街でもたまに見かけるようになりました。すでにアメリカでも大量採用されることが決定しました。アメリカをナンパすることに成功したんですね。国際標準になる日も近いかもね。
ホームページにはネーミングの意味として<「Charge de MOve = 動く,進むためのチャージ」,「de = 電気」,また「クルマの充電中にお茶でもいかがですか」の3つの意味を含んでいます」>とあります。あのー、最後の意味は一体何ですか?どうみてもムリがあるでしょ?たんなるこじつけでしょ?・・・と思っていたら、充電するのに30分もかかるとのこと。そりゃ、茶でもしてないともたんわ。そこのカノジョ、一緒にどう?ガソリンのようにあっという間に満タンとはまだいかないからさ。でも、これでも一応“急速”充電器なんですよ。う~ん、電気自動車の普及にはまだ時間がかかりそうです。他にも走行距離とか、値段とかもあるけれど。
それにしても多少ウケ狙いというか、話題狙いがあるとはいえ、自動車業界と東京電力がこんなネーミングを採用したのは意外な気がします。当然のことながら、最初から国際標準にするという目的はあったはずで、ネーミングについてもそこまで想定したことは間違いありません。せっかく先進技術をもちながらガラパゴス化してしまい、世界での競争に負けた携帯電話のテツを踏まないようにしないといけないし。その場合、一般論としては英語読みに近いコトバにしがちです。
で、仮に国際標準とか世界的製品になったとしても、「チャデモ」というのは、けっこう発音しにくい国の人も多いんじゃないでしょうか。特にヨーロッパなんかには。特に「チャ」の部分は。フランス人なら「シャデモ」と言いそうです。CHANELを「チャネル」とか呼んでしまう田舎のおばあちゃんの逆ですね。
余談ですがお茶は、言語によって、チャ、チャイ、ティー、テ、テー、シャー…などといろいろ呼ばれますが、日本語の「茶」も含めて語源は東洋も西洋もみーんな同じですね。
●CHA de MO ホーム